肛門周囲膿瘍
① 肛門陰窩に細菌が侵入し,そこに開口する肛門腺に感染することで炎症が括約筋などの肛門・直腸周囲組織に波及し,膿瘍が形成される病態である.
② 小児では,生後3ヵ月以内の男児に好発する.乳児期は肛門陰窩が深く,便が泥状・液状であり,腸管局所免疫が未熟であることが原因となる.
③ 肛門周囲の激しい疼痛がみられ,発熱を伴うことが多い.視診では,発赤,腫脹,硬結もみられる.
④ 慢性肉芽腫症,Crohn病に伴うものは難治性である.
⑤ 膿瘍の発赤・腫脹を認める場合は切開排膿を行うが,乳幼児では保存的療法で治癒することが多い.